ワールドカップの魔法-魔法をかけるアフリカチーム

オリバー・ベッカー氏（Oliver Becker）は、ドイツのフランクフルトを拠点とする、アフリカのカルトと信仰、サッカーにおいての魔法について研究したドキュメンタリーの映画制作者だ。彼は、ガーナのいくつかのグループがブラジルに対して、ゲームの前に呪物儀式を実行したと仮定したほうが無難だと話す。 「伝統的な医学と宗教は、ほとんどのアフリカ社会で重要な役割を果たします。」と、ベッカーは言った。「サッカーが断然アフリカでのナンバーワンのスポーツであるので、伝統的な信仰がサッカーに重要な役割を果たすのは当然です。」

ベッカーは、サッカーの世界での呪術を彼の映画「Kick the LionｰFootball」と「Magic in Africa」で描写しており、それらはワールドカップの芸術と文化プログラムの一端として先月初公開された。

生き埋めになる

多くのアフリカ諸国では伝統的なヒーラー（治療師）と祈祷師を、対価をはらうことで、呪術の儀式のために呼ぶことができる。「このサービスは、無料では行われない何かです。」と、ベッカーが言う。「一部のチームは、敵地での試合に向かえないほどの多くのお金を呪術に支出しています。」

ほとんどの呪術は相手の気持ちを弱めることに向けられているようだ。１つの有名な術では、若い選手を怖がらせるために敵のロッカールームにブタの血を塗る必要がある。もっと極端な術は、牛が敵のゴール前に生き埋めにならなければならないとされている。「これは、敵から力を吸うことを意味しています」と、ベッカーは言った。

2組のキーパーの手袋は、敵のゴールが通らないようにするためにネットに掛けられる。少しの動物または植物がゴールの近くで燃やされたり、魔法の粉としてばら撒かれることもある。「それは、競争の激しいビジネスです」と、ベッカーが言った。「呪術医は、常に新しいものに追いつこうとし、互いに勝ろうとしています。」

フィールドを走るとき、呪いをかけられることから普通のコースを避けるかもしれません。または、チームはフィールドの後に下がることによって敵の魔力を弱めるようにするかもしれない。そのような外観上変な振舞いはアフリカのナショナルチームに限られる迷信ではなく、世界中にあるようだ。

現在ワールドカップでプレーするものを含む、多くの欧州と南米のサッカースターたちは、試合の前の習慣的儀式を固く守っている。

イングランドのＤＦジョン・テリー(John Terry)は、試合移動のバスには常に同じ場所に座るという。彼はいつも試合前には、靴下止めのテープを、にすね当てのあたりに3回巻く。

このワールドカップの間に、スペインのストライカーであるラウル・ゴンザレス(Raul Gonzalez)は、黄色のＴシャツを練習着に着て現れて叱責されたという。彼のコーチであるルイ・アラゴネス(Luis Aragones)は、黄色は不運の色だと考えている。(フランスは、火曜日にスペインを打ち負かした。)

あらゆるゲームの前に、アルゼンチンの前コーチであるカルロス・ビラルド(Carlos Bilardo)は、彼のプレーヤーのうちの1人から、歯みがき粉を借りる。彼は1986年のワールドカップでアルゼンチンの最初の試合の前に、その儀式を始めた。そして、彼のチームは勝ち続けた。

前イタリア監督ジョヴァンニ・トレパトーニ(Giovanni Trappatoni)の場合は、修道女である姉から手渡された聖水を、ビンからグラウンドに撒いている姿をみることができた。

呪術は死に絶えたか？

クワベナ・オフォリ氏（Kwabena Ofori）は、ガーナの二部リーグのCapital Sports FCの会長だ。彼は、呪術がまれになってきていると言う。「伝統的な呪術は、伝統的医療とともに死に絶えています」と話す。

「選手は骨折したとするなら、伝統的な治療師によるのではなく、病院に行ってレントゲンを撮らなければいけないと知っています。」

「サッカーでの魔法は近隣のベナン(Benin)では依然として一般的です。それは魔法が効果が無いと証明するだけですが」とオフォリ氏は言った。「ベナンは、ワールドカップには決して出場できません」

ガーナの文部省によると、ある女性がワールドカップの前にナショナルチームのトレーニングキャンプへ連れて行って欲しいと頼んだ。彼女は、ガーナのンジマランド（Nzemaland）地域の全ての魔女の女王だと主張した。魔女は「精神的な支援をし、全ての邪悪なものを退ける」と申し出たが、却下された

火曜日に、ガーナはブラジルに0対3で破れ、ワールドカップを後にした。